集まって、まわって、暮らすイエ

計画地は、斜面地を宅地造成した分譲地に、ほぼ同時期に11棟の住宅が道路を中心に建ち並ぶ住宅街。これから同世代の家族が暮らし始めることが想定され、南面道路に面した敷地は、周囲に高い建物がなく、空を近くに感じられる。

周囲三面を住宅に囲まれ、採光は南面に限られる条件であった。そこで南に大きく開きながら、バルコニーの一部をインナーバルコニーとして計画している。夏の強い日差しはやわらかく受け止め、冬は奥まで光が届くよう、季節との関係を丁寧に整えた。

バルコニーはダイニング・キッチンと連続し、外と内をつなぐ、広がりのある居場所となっている。

庭にはブルーベリー、レモン、ジューンベリー、オリーブ、ローズマリーなど、実のなる植物を中心に植栽した。「食べられる庭」というコンセプトのもと、近隣と室内をやわらかく区切り、双方へ季節感と彩りを届けている。南面の木外壁ともよく馴染み、全体の表情をつくっている。

オーナーご家族は料理が好きで、友人を招き、食事を楽しめる空間が欲しいとのご要望があった。そこでキッチンとダイニングを繋ぎ、集まれる空間を目指した。

また、子育てと仕事が続く生活を見据え、家事動線にも配慮した。LDKとパントリーはトイレを中心に回遊できる構成とし、大人数が集まっても動線が重ならない。子どもたちはその動線をぐるぐると回りながら、家の中を遊び場のように使っている。

LDKの中央に設けた緑色のアクセント壁は、オーナーファミリーと友人たちが集まり、塗装ワークショップで仕上げたものだ。刷毛のムラを生かして表情をつくるヘイムスの塗料を用い、手を動かした時間や、その場にあった空気感と思い出が壁としてそのまま残っている。

性能面では、エネルギーを使いすぎない住まいであることを大切にし、省エネ等級6の断熱性能・気密性能を確保した。
特別なことをしなくても、夏は涼しく、冬はあたたかい。

家族の時間が自然と重なり、記憶が少しずつ積み重なっていく。
そんな日常を静かに支える住宅である。

INFORMATION

設計
中田製作所+E family
施工
中田製作所+E family
場所
神奈川県横浜市
用途
住宅(新築戸建)
延床面積
96.89㎡
写真
佐藤陽一