vividテラス宮古島

ホテルは多くあっても、家族や友人同士がひとつ屋根の下で気兼ねなく過ごせる、グループ向けの宿泊施設は意外と少ない。
この計画は「みんなで泊まれる場所をつくりたい」という想いからスタートした、宮古島のゲストハウスである。

建物は2階建て。
2階にはキッチンとダイニング、リビングを一体として設え、旅の時間を共有できる“集まる場所”をつくった。屋外には広いバルコニーを設け、海を眺めながら入れるジャグジーを配置。デッキではBBQも可能で、足を浸しながら食事を楽しめる、島らしい時間が流れる。

1階は宿泊スペースとして個室を2室設けたほか、7〜8人が泊まれるベッドルームを計画。大人数での滞在を想定し、シャワー室も2台設置している。

仕上げには、宮古島の風土に根ざした素材を積極的に取り入れた。
2階のキッチンやLDの壁には琉球石灰岩を使用。やわらかな色味と石の質感が、強い日差しを受ける島の空気とよく馴染み、室内に落ち着いた陰影をつくっている。

1階・2階の随所に設えた琉球ブロックは、沖縄の住宅街で広く使われてきた建材であり、台風や塩害、強い日差しといった環境に適応して生まれた暮らしの知恵でもある。壁としての安心感を持ちながら、風や光を通し、視線をやわらかく遮る。その透け感が空間の境界を曖昧にし、宮古島らしい居場所をつくり出した。

屋上は日射による熱の影響を抑えるため断熱を施し、天井は木の板張りで仕上げた。材料は現地の材木店で調達し、その土地で手に入るものを丁寧に選びながら、現場で計画を育てていった。

キッチンや洗面のカウンターは、宮古島の砂を混ぜ込んだモールテックスで仕上げ、土地の記憶を手触りとして残している。
廊下には島の情報を掲示できるボードを設置し、滞在が宿泊だけで終わらず、旅の背景に触れられる仕掛けとした。

また、既存の螺旋階段はそのまま残し、再塗装と木板の貼り替えによって再構成。建物がもともと持っていた要素を生かしながら、新しい用途へとつなぎ直した。

砂山ビーチから徒歩5分ほど。繁華街から少し離れた静かな立地にあり、海と風の気配を近くに感じられる。
宮古島の風土に学び、素材を選び、手を動かしながらつくられていったこの宿は、集まること、食べること、泊まることを受け止める、旅の居場所となっている。

INFORMATION

設計
中田製作所
施工
中田製作所+メイスンワークス
場所
沖縄県宮古島市
用途
宿泊施設(ホテル)
延床面積
150.11㎡